泳動結果
ATMは高分子量(350 kDa) であるため,
3%という低濃度のポリアクリルアミドゲルを用いて解析しています。
3%ではゲルが柔らかすぎて扱いにくいため,
0.5%アガロースを加えて補強しています。
HeLa細胞血清存在下で培養し,
actinomycin(2µM)を添加して5時間後にATMのリン酸化状態を
Phos-tag SDS-PAGEで解析しています。
Zn2+–Phos-tag SDS-PAGEの場合は,通常ゲルバッファーはBis-trisです。
しかし,Bis-trisは3級アミンであり,TEMEDと同じ重合開始剤として
一部がポリアクリルアミドに重合します。
ゲル濃度が高い場合は問題になりませんが,
3%では,Bis-trisのポリマー化の影響を受けて,
低質なゲルができ,タンパク質の分離ができません。
そこで,Tris-酢酸 (200 mM) を分離ゲルバッファーに,
Tirs-Tricineを泳動バッファーに用いることで,
高分子解析用,低濃度ゲルのZn2+–Phos-tag SDS-PAGEを実現しました。
ATMをサンプルとして,この系の分離効果を
Mn2+–Phos-tag SDS-PAGEと比較した実験です。
Mn2+–Phos-tag SDS-PAGEでは,リン酸化型を2種分離しましたが
Zn2+–Phos-tag SDS-PAGE では,3種分離しました。
一概に言えませんが,Zn2+–の方が,Mn2+–よりも分離効果が高い傾向があり,
ATMもその一例です。
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